日本パーソナリティ心理学会第17回大会 平成20年(2008年)11月15日(土)・16日(日)会場:お茶の水女子大学(〒112-8610 東京都文京区大塚 2-1-1)

シンポジウム・セミナー等

準備委員会企画シンポジウム1

タイトル
「クロスロードとしてのパーソナリティ研究 ―過去、現在、未来―」

話題提供者
社会心理学の観点から 木下 冨雄(国際高等研究所)
臨床心理学の観点から 越川 房子(早稲田大学)
発達心理学の観点から 菅原 ますみ(お茶の水女子大学)

指定討論者
渡邊 芳之(帯広畜産大学)

司 会
坂元 章(お茶の水女子大学)

概 要
1992年6月、日本性格心理学会は、さまざまな心理学の領域で性格やパーソナリティの問題が扱われているにもかかわらず、それについて議論する場が乏しかった状況を改善するために設立された。同年11月に日本大学で行われた第1回大会では、「性格研究のこれからの課題」というシンポジウムが開かれ、実験心理学、発達心理学、臨床心理学、精神医学、異文化心理学の著名な話題提供者によって、性格やパーソナリティ研究に対する期待が述べられた。
2003年10月には、日本パーソナリティ心理学会と改名され、現在まで、会員数と、学会誌における掲載論文の数の増加に見られるように、本学会やパーソナリティ研究は、少なくとも量的には発展してきたと言えるであろう。しかしながら、現在までの発展は本当に意義のあるものであったのだろうか。また、将来、本学会やパーソナリティ研究が取り組む課題としてどのようなことが考えられるのだろうか。
本シンポジウムの目的は、会員がこれらのことを考えていくうえで、手がかりになる情報を提供することである。そこで、まず、社会心理学、臨床心理学、発達心理学の著名な研究者から、これまでのパーソナリティ研究の意義や、今後の課題などについて話題提供をいただく。そして、現在、本学会における研究で何が起こっていることを最もよくご存じな機関誌編集委員長からコメントをいただく。なお、本シンポジウムで扱う問題は、会員全員に深く関わるものであるため、フロアーからの発言の時間を長く取って、多くの先生方からご発言をいただきたいと考えている。
異なる心理学の分野の著名な研究者から話題提供をいただくことは、第1回大会のシンポジウムと同様である。異なる心理学領域が対話できる「クロスロード」としてのパーソナリティ研究の魅力が浮かび上がればと期待している。

準備委員会企画シンポジウム2

タイトル
「モバイル・リサーチ −パーソナリティ研究の新たな可能性−」

話題提供者
携帯電話のメール機能を利用した調査 阿部 美帆(筑波大学)
携帯電話のウェブ機能を利用した調査 森 津太子(放送大学)
携帯電話のカメラ機能を利用した調査 川浦 康至(東京経済大学)

司 会
高比良 美詠子(メディア教育開発センター)

概 要
心理学研究における近年の大きな変化の一つは、実験や調査に次々と新しい機器が導入されるようになったことだろう。これはパーソナリティ研究においても例外ではない。例えば、かつてはpaper and pencilが主流だった性格測定がPC上で行われることは、さほど目新しいものではなくなっている。
そのような中、最近注目されるのは、携帯電話を利用した研究の実施である。携帯電話は一人が一台ずつ保有する極めてパーソナルなメディアである。また常に携帯されることから特定の個人に常時アクセス可能であり、これは個人のパーソナリティを研究対象とするパーソナリティ研究にとって好都合な特徴といえる。また現在の携帯電話は、単なる通話機器でなく、メール送信、インターネット接続、写真撮影など多様な機能を持ち合わせていることから、面倒なデータ入力の手間が省けたり、テキストデータ以外のデータが収集できたりするなど、研究を実施する上でも多くの利便性が生まれている。
本シンポジウムでは、携帯電話のさまざま機能を利用して研究をされている3名の方に実際の研究の様子を紹介していただき、会場の皆さんとそのメリット・デメリットを議論する中で、携帯電話をパーソナリティ研究に利用することの可能性を探っていきたい。ご紹介する研究は必ずしも狭義の意味でのパーソナリティ研究ばかりはないが、手続きやTIPSなどをなるべく具体的に提供することで、参加者の方がご自身の研究に携帯電話を導入するきっかけの場となることを望んでいる。また、本シンポジウムの中で、実際に「モバイル・リサーチ」の一部を体験していただきたいと考えているので、ぜひ携帯電話を持参して参加していただきたい。

準備委員会企画シンポジウム3

タイトル
「人はなぜ犯罪を起こすにいたるのか ―パーソナリティとの関連を探って―」

話題提供者
大渕 憲一(東北大学)
酒井 厚(山梨大学)
相澤 仁(元厚生労働省虐待防止室室長補佐,現国立武蔵野学院院長)

指定討論者
安藤 寿康(慶應義塾大学)

司 会
菅原 ますみ(お茶の水女子大学)

概 要
犯罪とパーソナリティとの関連については,一般にも高い関心を持たれているテーマである。本シンポジウムでは,犯罪に至るまでの個人の軌跡について,パーソナリティと環境との相互作用の観点から考察を試みる。
シンポジストとして,犯罪心理学,少年非行の現場,犯罪傾向の発達に関する発達精神病理学の研究者3名の方に,それぞれの立場から犯罪に至る道すじにパーソナリティがどのような役割を果たしているかを考察していただき,討論していく。また指定討論として,行動遺伝学の立場から犯罪傾向とパーソナリティについて総括的にコメントしていただく予定である。
※本シンポジウムは、臨床発達心理士資格更新ポイント(0.2ポイント)の対象となります。

McAdams博士セミナー

タイトル
A New Big Five: Fundamental Principles for an Integrative Science of Personality
(ニュービッグファイブ:統合的なパーソナリティ科学のための基本原則)

発表者
Dan P. McAdams(ノースウェスタン大学)

コメンテーター
黒沢 香(東洋大学)
サトウ タツヤ(立命館大学)

司 会
小塩 真司(中部大学)

企 画
日本パーソナリティ心理学会 国際交流委員会

概 要
Dan P. McAdams先生は、パーソナリティや成人の発達、ナラティブ研究を専門としており、多くの論文・著作がある。本セミナーでは、McAdams先生の発表を中心に、日本人研究者も参加して、パーソナリティをどうとらえるのかについての議論を深めたいと考えている。具体的には、まず、McAdams先生にパーソナリティ心理学の歴史と今後の方向性を理論的に統合した“New Big Five”について語っていただく。New Big Fiveとは、1.進化の過程で残ってきた性質2.Big Fiveをはじめとする性格特性3.状況や課題によって異なる行動パターン4.ライフ・ナラティブとアイデンティティ5.文化の影響、である。続いて、黒沢香先生とサトウタツヤ先生から、日本のパーソナリティ研究の動向を含め、コメントをいただく。最後に、フロアの参加者も含めてディスカッションを行う。本セミナーを通じて、パーソナリティをとらえる歴史的視点や統合的枠組みの理解が深まることを期待したい。

日本臨床発達心理士会企画シンポジウム

タイトル
「発達障害児者のパーソナリティをふまえた発達支援をいかに行うか」

座 長
本郷 一夫(東北大学大学院教育学研究科)

発題1
高橋 和子(金沢大学大学院医学系研究科こころの発達研究センター)

発題2
大石 幸二(立教大学現代心理学部)

討 論
秦野 悦子(白百合女子大学大学院文学研究科)

企 画
日本臨床発達心理士会

概 要
臨床発達心理士は、今日までの発達臨床、発達障害に関する発達心理学の貢献および成果をふまえ、個体能力へのアプローチと環境諸要因へのアプローチを具体的に進めてきた。その中で、個人差の問題については盛んな議論があるものの、特に発達障害のある児者のパーソナリティ発達やその特性をふまえた発達支援のあり方についての討論は少なく、これらの問題を中心的な課題とする実践的な研究もその蓄積が乏しい。
われわれは、臨床発達心理学的なアプローチを適用する過程で、発達障害のある児者においても比較的安定的に見られる行動の現れ方ある一方で、外的な状況に存在する“力”によって変動する反応があることを了解している。そして、それらのパーソナリティに関わる要因を考慮に入れたうえで、われわれのアプローチをアレンジしている。けれども、1.パーソナリティ要因をいかに把握し2.それをどのように考慮に入れ3.われわれのアプローチをどのようにアレンジして、対象児者にカスタマイズしたかについて充分に記述してこなかったために、先に指摘した課題を残している。
本シンポジウムでは、以上のことをふまえ、発達障害児者、特に自閉性障害のある児者への臨床発達心理学的なアプローチを適用した事例を挙げ、その中でパーソナリティ要因をいかに取り扱うことができるかを討論する契機を提供したい。
※本シンポジウムは、臨床発達心理士資格更新ポイント(0.5ポイント)の対象となります。

経常的研究交流委員会企画シンポジウム1

タイトル
「医療心理学におけるパーソナリティ」

話題提供者

平井 啓(大阪大学)  医療心理学の総論と性格の5因子モデル(NEO-FFI)による術後乳癌患者の心理的適応の予測について
岩満 優美(北里大学)  感情抑制、特性不安を中心に、がん患者の心理的ストレスとの関係
林 直樹(都立松沢病院)  自殺関連行動とパーソナリティ障害

指定討論者
北村 英哉(東洋大学)

司 会
小林 知博(神戸女学院大学)

概 要
心理学という領域の中で、環境や状況の影響とともにパーソナリティは人間の行動に大きな影響を及ぼすことが分かっている。その影響力は心理学の枠を出ても健在である。しかし、日ごろ心理学の枠内で研究を行っている者にとっては、他の分野においてパーソナリティがどのように活用されているのかについて、直接に話を聞いたり思索をめぐらせる機会はさほど多くはないのではなかろうか。
本シンポジウムでは、医療に関連する分野においてパーソナリティがどのように扱われ、どのような影響力を持っているかについて、医療心理の専門家として活発なご研究をしておられる先生方にお話いただく。具体的には、ある特定のパーソナリティと特定の疾病罹患との関連や、医療現場における介入研究などについて、実証データに基づく研究をご紹介いただく。また医療心理の総論として、国内外におけるこの分野の今後の方向性についてもお話いただく。医療心理、臨床心理、精神医学と様々な角度から、先生方のお考えを伺うことができたらと考えている。
本シンポジウムをお聞きいただき、様々な分野への心理学の可能性について、聴衆の方々ご自身の研究や今後の心理学の方向性を考えるに当たり、少しでもこやしとなってもらえれば幸いである。

経常的研究交流委員会企画シンポジウム2

タイトル
「教育における『個人と集団』」

話題提供者

赤木 和重(三重大学)  特別支援教育における個別指導と集団づくり
加藤 弘通(静岡大学)  荒れる学校における個と集団の関係
松嶋 秀明(滋賀県立大学)  教師に語られる生徒たち:中学校のスクールカウンセリング実践から

指定討論者
無藤 隆(白梅学園大学)
川田 学(香川大学)

司 会
大久保 智生(香川大学)

概 要
生徒指導や巡回相談など心理学が教育現場と関わることは多い。特に近年では特別支援教育がはじまり、さらに現場と心理学の関係は深まりつつある。そのなかで多くの心理学者が出会い、悩まされる言説がある。それは「個人と集団」という対比軸である。たとえば、個別支援・指導として有効なものも、それを学校・学級集団のなかで行うとしたら、様々な問題が生じる場合もある。また、問題に応じて、個別的な視点と集団的な視点がもつ重みが変わってくる場合もある。さらに言うなら、現場や実践者に応じて、個人と集団の関係づけられ方も異なっている場合もあるだろう。
本シンポジウムでは、様々な領域に実践的に関わる研究者に、(1)それぞれの領域で問題となる「個人と集団」の関係について整理してもらい、(2)それがもつ利点と問題点を検討してもらう。そして、その上で(3)「個人と集団」という軸で教育の問題を語ることで覆い隠される可能性について提言していただく。
こうした話題提供をとおして、「個人と集団」という言葉に、実践者と心理学者が暗黙のうちに込める意味を明らかにするとともに、この軸以外で教育を語る可能性を模索していきたい。

広報委員会企画シンポジウム

タイトル
「ポスドクの将来設計の現状と展望 〜多様なキャリアパスと学会の役割」

話題提供者
友野 隆成(同志社大学 嘱託講師)
大和田 智文(専修大学人文科学研究所)
(社)日本物理学会キャリア支援センター

指定討論者
菅原 健介(聖心女子大学)
門地 里絵(花王(株)香料開発研究所)

司 会
山田 幸恵(岩手県立大学)

概 要
大学院の博士課程を修了した多くの人が常勤職につくことができず、非常勤職等で生活を維持するいわゆるポスドク問題は、わが心理学界においても切実な問題となっている。生活を維持するために、なかには学界で生きていくことをあきらめざるを得ないような場合さえでてきている。本企画では、このようなポスドク問題とよばれる状況、すなわち、研究・生活・仕事・経済的状況・将来の希望や見通しなど、博士課程修了後に多くの人が直面すると考えられる諸問題について、整理をしていく。
また、一個人のライフコースとしてどのような生き方がありえるのか、またその生き方のためには何が必要となるのか、その現実について検討する。さらに、学界などのアカデミックなソサイエティは、上記のような問題に対し実際どのような具体的ヴィジョンを提供でき、そしてわれわれはそこに何を期待することができるのかを提案する。具体的には、友野氏がポスドクに関する現状、大和田氏がポスドクとしてのひとつの生き方と学会に期待すること、(社)日本物理学会キャリア支援センターが学会からのポスドク支援の可能性について話題提供を行う。
また、菅原氏が教員・採用側の立場から、門地氏が民間に就職した立場から、それぞれ研究者の採用に関する問題やポスドクに期待することなどについて指定討論を行う。

自主企画シンポジウム1

タイトル
「子どものパーソナリティと気になる行動を考える発達行動遺伝学の展開」

企画者
高橋 雄介(日本学術振興会・慶應義塾大学)
安藤 寿康(慶應義塾大学)

発表者
菅原 ますみ(お茶の水女子大学)
藤澤 啓子(慶應義塾大学)
尾崎 幸謙(科学技術振興機構)
田中 麻未(お茶の水女子大学)
高橋 雄介(日本学術振興会・慶應義塾大学)

指定討論者
眞榮城 和美(清泉女学院大学)

司 会
安藤 寿康(慶應義塾大学)

概 要
双生児法による行動遺伝学は、量的遺伝学のモデルに基づいて、人間の適応/不適応行動など、表現型までの発現経緯が未だ明確でない複雑な形質について、遺伝要因と環境要因の相対的な効果の程度を量的に評価してくれる手法である。これに、発達科学と縦断研究という2つのキーワードを加味した発達縦断研究を、発達行動遺伝学(Plomin, 1983)と呼ぶ。
本ワークショップでは、国内の双生児を対象とした縦断的双生児データの中でもとりわけ子どものパーソナリティと気になる行動に焦点を当てて、「子どもたちのパーソナリティ形成や気になる行動の発生に、遺伝要因と環境要因がどのように相互的に作用しているのか」という点に着目しながら、発達行動遺伝学的に検証し,議論したい。
具体的には、(1)子どものパーソナリティと気になる行動の個人差に寄与する遺伝要因と環境要因の関係が、発達を通じてどのように変化するのか、もしくは変化しないのかという“連続と変化”に関する視点から考察し、(2)時間的に先行するパーソナリティもしくは気になる行動の遺伝・環境要因が、その後の遺伝・環境要因にどのような影響を与えているのかという点について、表現型のみによる関係から更に一歩踏み込んだ関係について検討して、子どもたちの発達の様子を遺伝と環境の両側面から統合的に理解することを試みる。

自主企画シンポジウム2

タイトル
「装い研究の今」

代表者
鈴木 公啓

企画者
鈴木 公啓
荒川 歩(名古屋大学大学院法学研究科)

司 会
鈴木 公啓

話題提供者
鈴木 公啓
木戸 彩恵(京都大学大学院教育学研究科)
完甘 直隆((株)ワコールHD)

指定討論者
余語 琢磨(早稲田大学)
大坊 郁夫(大阪大学)
菅原 健介(聖心女子大学)

概 要
人は、化粧や衣服、アクセサリーからダイエット、はては美容整形まで、数多くの装いをおこない、外見を変化させて日々の生活を送っている。外見は自己と密接に関わり、また,QOLにも関連している。強い影響力を有している。しかし、様々な理由により、装いについての研究は、決して十分におこなわれてきたとは言い難い。そのため、装いの背景にある心理については、それほど明らかになってはいない。
外見や装いは重要であり、それらについて,心理学者が取り組むべき課題は多い。本企画では、装い研究の現状と問題点および課題、装いの研究法としての質的研究の意義、そして、現場から心理学者に求めること、のそれぞれについて、話題提供をおこなう。そのうえで、それらに対して、指定討論者の先生方からのコメントを頂く。その後、フロアの方々と一緒に、これからの装い研究の方向性と可能性について議論していきたい。

自主企画シンポジウム3

タイトル
「複数文化環境とパーソナリティ −『文化的アイデンティティ』再考」

企画・司会
鈴木 一代(埼玉学園大学)

話題提供者
小澤 理恵子(山梨大学)*非会員
渋谷 真樹(奈良教育大学)*非会員
手塚 千鶴子(慶応大学)

指定討論者
榎本 博明(名城大学)
鈴木 一代(埼玉学園大学)

概 要
近年、日本社会では、留学生や帰国生徒をはじめ、日系外国人、国際児 (国際結婚者の親から生まれた子ども)など、複数の文化的環境のなかで過ごす人々が急増している。これらの人々とって、極めて重要な問題となるのが「文化的アイデンティティ」である。一つの文化のなかで生まれ育ち、一生をそこで過ごす人の場合には、「自分は何人か」という問いが生じる必然性はかなり低い。しかし、二つ以上の複数文化環境のなかで成長する子ども、二つ以上の複数文化環境にまたがって生活をする人、人生の途中で異なる文化圏へ文化間移動をした人などは、「自分はだれか」という問いとともに、「自分はいったい何人か」「自分の文化は何か」という問いに遭遇することになる。「文化的アイデンティティ」は、一般的には、自分自身がある文化に所属しているという感覚 (帰属感)、あるいは意識(帰属意識)であるといえるが、「文化的アイデンティティ」をどのようにとらえるかについては、いくつかの立場が存在する。
そこで、本シンポジウムにおいては、エリクソン(Erikson, E. H.)の理論、カルチュラル・スタディ―ズにおける考え方、さらに、心理臨床の実践のなかでのとらえ方を中心にとりあげ、それぞれの立場から、「文化的アイデンティティ」について議論することにより、「アイデンティティ」や「文化的アイデンティティ」について考える。

自主企画シンポジウム4

タイトル
「パーソナリティ心理学教育の現在:統合的視点からの試み」

企画者
黒沢 香(東洋大学)
原島 雅之(千葉大学)

話題提供者
萩生田 伸子(埼玉大学)
山上 真貴子(お茶の水女子大学)
原島 雅之(千葉大学)

指定討論者
黒沢 香(東洋大学)

概 要
昨年,『Introduction to Personality- Toward an Integrative Science of the Person, 8th Edition』がアメリカにおいて出版された(Mischel, Shoda, & Ayduk, 2007)。そしてその邦訳版が今年度中の出版を予定している。本書は18章からなっており,特性や精神力動といった従来のパーソナリティの教科書として主に扱われてきたテーマのみならず,社会認知的視点,生物学的視点や進化的視点といった多岐にわたるテーマについて,古典的な知見から最新の知見に至るまで豊富なトピックが掲載されている。また,単にそれらの紹介だけにとどまらず,それぞれの異なるテーマを統合し,全体像としてのパーソナリティを描き出そうとする意欲作である。
本企画では,邦訳に携わった訳者からそれぞれが担当された章の特徴や,パーソナリティ心理学教育における位置づけなどについて紹介いただく。討論を通じて,パーソナリティ心理学の教育的意義やパーソナリティの統合的視点の意義などについて議論を深めたい。