公開講演会  9月22日  16:40〜17:40  1号館4階 S室

“現代人に特徴的な性格”はあるのだろうか

講   師香山リカ (神戸芸術工科大学)
司   会坂元 章 (お茶の水女子大学)
 青少年犯罪などの報道が相次ぐ昨今、「今どきの若い人はどこかがおかしい」「現代社会の悪影響を受け、子どもの性格もゆがんでいる」といった言い方は、一種の常套句のように人々の間で囁かれている。そのひとつである自己中心的な性格を表す"ジコチュー"なる流行語なども生まれた。
 たしかに、精神科の臨床現場でも、これまでメインの治療対象であった分裂病や躁うつ病といった内因性精神病の軽症化、対人恐怖症などの古典的な神経症の減少などにかわり、境界性人格障害や自己愛性人格障害などの種々の人格障害や解離性同一性障害(多重人格)に代表される解離性障害の増加、あるいは「ひきこもり」「アダルト・チルドレン」などのいまだ疾患概念として成立していないような"現象"の出現が大きな問題となっている。
 こういった傾向から、われわれはやはり「現代人に特徴的な性格」があることを認め、それを抽出しなければならない地点に来ている、と言わざるを得ないのだろうか?またそれは、たとえば従来の日本人の性格特徴と言われた「対他的秩序愛」などに比べ、社会性の少ない未熟な性格なのであろうか?
 当日は、とくに精神医療の場で起きている変化について紹介しながら、この"新しい性格"についてのいくつかの議論に触れ、「ある種の変化が生まれていることは確かである」が「それは決して否定的なものとは言いきれない」とする演者自身の私見を述べてみたい。
<香山リカ>
1960年生まれ。東京医大卒。北海道、埼玉県の精神科病院勤務の後、現在、神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科助教授。専門は精神病理学。


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