ミニ特集*学会への一言
もっと査読者を!
岡田 努(金沢大学文学部)

 性格心理学会について何かコメントを書いてほしいという依頼を受けました。私自身この学会に入会してから5年程度と日が浅く、とても要望や意見を言える立場ではありません。しかし『性格心理学研究』の常任編集委員なども仰せつかっており、何も無しという訳にもいきませんので、日頃編集のお手伝いなどの中から感じたことを書いてみたいと思います。

 昨今は、また学位取得が一般化し、一方で研究職のポストがますます厳しくなるなど、個々の研究者が研究業績を積むことの必要性が、今まで以上に高まっています。『性格心理学研究』の場合、投稿者と査読者の連絡、編集委員会内部での連絡や投票などが電子化され、審査の迅速化が進められています。しかし、論文を審査する作業そのものは、やはり個々の審査者の「手作業」に負わざるを得ません。また学会誌の水準を維持するためには、査読そのものはより丁寧に行わなければなりません。

 しかし、編集委員として審査に当たる委員の先生方もみな大変お忙しいというのが現状です。とくにこのごろでは、大学教育の充実が叫ばれ、加えて大学改革やら少子化対策やらと、大学での仕事や会議に拘束される時間も急激に増加しています(内緒ですが、この原稿の素案も、ある会議の最中に内職で考えています。苦笑)。アカデミックボランティアの精神を以てしても、物理的な時間を増やすことは出来ませんし、学会誌に寄せられる「質」と「時間」の期待に十分応えていくには、現在の編集委員の人数では、そろそろ限界に来ているようにも思います。

 予算面など、簡単には解決できない問題もあるとは思いますが、レフェリー付学会誌としての社会的評価を保つためにも、意味があることかと思っております。

 なお、これはあくまで個人としての考えであって、編集委員会に諮ったわけでもない非公式の感想にすぎません。しかし、学会への要望というテーマで他に思いつくこともなく、書かせて頂いた次第であります。


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