ミニ特集*学会デビュー
初めての学会発表を終えて
杉本英晴(早稲田大学大学院人間科学研究科)

 初めての学会発表は私にとってとても貴重な体験になりました。2時間という短い発表時間中にたくさんのことを経験したように思います。その中でも、発表を終えた今とくに2つのことが印象に残っています。

 まず1つめは、発表することを通して思っていた以上のことが得られたということです。発表するにあたって私が一番悩んだのは、研究内容をわかりやすく人に伝えるにはどうしたらいいかということでした。発表するからにはいろいろな方向からの多様なご指摘をいただきたいと思い、そのためにも各分野の諸先生方に私が研究している内容を少しでも理解していただきたいと考えていました。しかし、今までいろいろな学会発表を見てきたとはいえ、自分自身が発表するのは今回初めてだったため、私の研究の方向性や研究の問題意識がうまく皆さんに伝わるかどうかとても不安でした。もちろん自分の中で曖昧なものが人に伝わるわけがないと思い、研究内容をよりわかりやすくまとめたいと考えて問題意識の明確化を重視したポスター作りを試みたのですが、結局思うようにはいきませんでした。しかしいざ発表してみると、多くの方々が話を聞いてくださったりいろいろと質問してくださったりしたことで初めに持っていた不安は払拭されました。それだけでなく、今回の発表では皆さんに説明したり質問に答えることによって、自身の研究について反芻する良い機会ともなりました。これまで自分だけではみえていなかった言葉の曖昧さの問題などに気づき、研究に対する新たな視点を教えていただいたように感じました。まだまだ不十分ではありますが、今後の研究の方向性が少し見えてきたような気がします。この経験は、私にとって大きな発見でした。

 印象に残った2つめの出来事は、多くの研究者の方々と知り合えたということです。日本全国のさまざまな世代の研究者の方々と知り合うことができたのは、それだけで私にとって大変楽しいことでした。研究という面だけにとどまらず、机上の勉強だけでは得られないさまざまな話を聞くことができたり、また、同年代で私と同じように研究の方向について試行錯誤している研究者の方々とお互いの研究内容について話すことができたりしたことはとても有意義でした。というのも、研究を始めたばかりの私にとって、勉強をすればするほど興味のある分野が増えていき、自分の進みたい方向は現在進んでいる方向でいいのかと不安になることの連続だったからです。しかし、今回いろいろな方とお話しできたことで余計な肩の力が抜けたように感じました。

 今回の学会発表で皆さまからいただいたご指摘を取り入れつつ、よりよい研究を行っていきたいと思っております。そのうえで、より充実した話をさまざまな研究者の方々とできたら――そのために、これからも定期的に学会で発表を続けていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いします。


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