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長峯 聖人(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)

 第49回は,若手研究者の長峯 聖人先生に,ご自身の研究についてご紹介いただきます。長峯先生は現在,筑波大学大学院人間総合科学研究科にご所属され,主に時間の主観的な認知と動機づけに関する研究を進められています。今回は,長峯先生が研究を始められたきっかけや,現在の研究内容,今後の展望についてご説明いただきました。

時間の主観的認知と動機づけに関する研究

長峯 写真

現在の研究のきっかけ

最近はちょっと離れてしまっていますが,高校生くらいまでは小説が好きでよく読んでいました。小説って色々なお話があるので,読んでいて様々な感情を体験しますよね。でもそういったものって,多少なりとも作家さんが意図して構成しているものだと思うんです。よくよく考えたら,読者が経験するであろう感情を意識してストーリーを書けるって不思議だなと思って,心理学を専攻することにしました。
やりたいこと優先で生きていたらいつの間にか院に進んでいたのですが,ある時,自分の「興味の軸」はどこにあるのかをよくよく考えたことがあって,改めて自分の中で整理した結果,「時間」と「動機づけ」だなと思ったのです。時間は,小学生6年生の時に読んでいたSF小説が時間に関するもので,当時はそれに感化されて時間のことを(1秒はどうやって算出されるかとか)小学生なりに色々調べていたんです。しばらくそのことは忘れていたのですが,自分の研究内容や関心のあるテーマを振り返ったときに時間に関するものがいくつかあり,当時のことを思い出して「昔から好きだったんだな」と思いました。動機づけは上に書いたようにフィクションが好きで,元々は「人に感銘や感動を与えるもの」が好きだった(今も好きですが)のが,心理学の色々な研究に触れて「人を動かす原動力」について知りたいと思うようになったという感じですかね。

現在の研究について

「現在の研究のきっかけ」で書いたように,「時間」と「動機づけ」に関する研究を色々行っています。「時間」については,研究テーマにある通り,個人が時間をどのように捉えるかという「主観的な認知」の側面を重視しています。現在の研究で主に取り組んでいるものは,ノスタルジアと制御焦点ですね。紙幅の都合上,あまり詳細は述べられないのですが,簡略的に述べるとノスタルジアは自身の過去の記憶をトリガーとする感情体験,制御焦点は目標志向性の1種です。ノスタルジアについては,それを経験することによる心理的影響を主に自己(self)の観点から検討しています。制御焦点は共同研究により進めているのですが,態度形成や動機づけの向上に与える影響について様々な要因を考慮しつつ検討しています。現在ではこれらに加えて,時間的な観点を踏まえた感情制御方略,スケジュール作成の個人差に関する研究などに着手しています。
一見すると色々な研究をやっているように見えるのですが,上に書いたように「時間」と「動機づけ」という点では共通点があり,僕の中ではつながっています。ただテーマとしてはまだそれぞれ独立している感じなので,ゆくゆくは各テーマの観点を統合できるような研究を行っていきたいなと考えています。

今後の展望

1つは,「現在の研究のきっかけ」で少し書いたように,将来的には現在独立して行っている複数のテーマを統合的に検討できるようなデザインを考えていきたいということですね。もう1つは,社会への還元です。「時間」も「動機づけ」も,日常の中にありふれているのでいくらでも応用の仕様があると思うのですが,現段階では私が行っている研究が社会でどのように役立つのか,という点に関して直接的な貢献を主張できる部分が少ないと感じています。そうした思いもあり,今は一部のテーマに関して特に教育現場での応用を目指した研究計画を立てているのですが,今後は最新の研究手法を取り入れつつも社会での応用という部分を念頭に入れて研究を行っていくことが必要なのかなと最近考えています。

最後に

このような貴重な機会を与えてくださいました日本パーソナリティ心理学会の広報委員の先生方,ならびに関係者の先生方に深く感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。