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梅本 貴豊(九州女子大学人間科学部・講師)

第39回は,若手研究者の梅本貴豊先生にご自身の研究をご紹介いただきます。梅本先生は現在,九州女子大学人間科学部に所属され,学習における動機づけ調整について研究されています。ここでは,研究をはじめたきっかけや現在の研究の状況,今後の研究の展望についてご説明いただきました。

学習における動機づけ調整の研究

現在の研究を始めたきっかけ

大学での専攻は外国語であったため,心理系の大学院進学のために,あたりまえですが,心理学の分野で研究トピックを決める必要がありました。3年生の後期に,たまたま読んでいた教育心理学の本のなかで唯一理解できたのが,ワイナーの「原因帰属理論」でした(学部時代は,専門は心理学でなかったため,全然専門の知識がなく,他の理論等はあまり理解できませんでした)。それをきっかけに,学習の動機づけを研究しようと思いました。きっかけはとても些細なものです。他の研究がうまく理解できていたら,自分の研究トピックは全然違っていたかもしれません。

現在までの研究内容

現在は,学習における「動機づけ調整」について研究を行っています。学習とは,常に楽しいものではありません。むしろ,学習への動機づけは容易に低下してしまいます。そのため,そういった際に,例えば,学習内容の興味のある部分を見つけたり,学習内容が自分の将来にどのように役立つかを考えたり,学習環境を整えたりして,動機づけを自身で調整することが必要になります。こういった動機づけ調整は,自律的に学習を進めるにあたって,重要なファクターになると考えています。
これまでは,個人の学習における動機づけ調整について研究を行ってきましたが,今は「他者との学習における動機づけ調整」について研究を行っています。すでにいくつか研究を行っているのですが,個人の学習における動機づけ調整とはまた異なる,特徴的な動機づけ調整のやり方が明らかにされました。さらに,それらの動機づけ調整のやり方がどのような学習につながるのか,面白い結果も出ています。これらの研究結果の詳細については,学会または論文で発表したいと思っています。

今後の展望

まず,動機づけ調整の研究をこのまま進めるのか,他の研究トピックに変えるのか,というところが大きいと思います。今の研究テーマを,より深めていく面白さもあると思いますが,一方で,また異なる研究に挑戦し,新しくいろいろなことを学んでいく面白さもあると思います。とりあえずは,今の研究が一区切りつくまでは,研究を進めつつ,じっくり考えてみようと思います。また,いろいろと共同研究などを行いながら,自分の興味を広げていくことができればいいのかなと思っています。

最後に

このような貴重な機会を与えてくださった,関係者のみなさまに感謝いたします。